恩田陸『常世物語 エンド・ゲーム』(集英社)

「裏返さ」なければ「裏返される」??正体不明の「あれ」と戦い続けてきた拝島親子。だが母が倒れ、残るは一族最強の力を持つ娘だけに。(集英社http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=4-08-774791-3&mode=1)

『光の帝国』の常野一族の物語のなかの『オセロ・ゲーム』の続編です。切なくも牧歌的な雰囲気のある常野一族の物語のなかでこの『オセロ・ゲーム』だけは妙に緊迫感があり暗い色調の物語でした。その続編だけあって「得体の知れない何か」という不気味な影が物語を覆っています。正体不明の「あれ」と「裏返す」能力を持った人々の戦いとはなんなのか。何が真実なのか、不安と恐れとが物語を押し進めていく感じ。途中まではハラハラドキドキと読んでいたのですが、終盤に失速。「裏返す」ことや「洗濯」することの意味合いに納得いく説明がなく、正体不明の「あれ」の在り様もわからないまま。個々のキャラクターのエピソードは悪くないんだけど、肝心の常野一族の物語として彼らの存在がどういう位置づけにあるのかが描かれないので消化不良をおこしてしまった。また結末も強引に決着を付けてしまった感じで納得がいかない。無理矢理なハッピーエンド?としか思えない。常世物語のなかでは気味の悪さやどうすることもできない悲惨さが前面に出てる異色の作品で着眼点は良いと思うだけにちょっと残念な感じ。

エンド・ゲーム 常野物語 (常野物語)

エンド・ゲーム 常野物語 (常野物語)