マイクル・コナリー『天使と罪の街』上下(講談社文庫)

元・ロス市警刑事の私立探偵ボッシュは、仕事仲間だった友の不審死の真相究明のため調査を開始する。その頃ネヴァダ州の砂漠では多数の埋められた他殺体が見つかり、左遷中のFBI捜査官レイチェルが現地に召致された。これは連続猟奇殺人犯、"詩人(ポエット)"の仕業なのか?そしてボッシュが行き着いた先には……。(講談社http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2754762)

ボッシュ・シリーズ10作目。今回はノン・シリーズの『ザ・ポエット』『わが心臓の痛み』の登場人物たちが絡みます。しかも続編というか後日譚になりますのでこの2作品は事前に読んでおくこと必須です。出来れば『わが心臓の痛み』のマッケレイブがボッシュシリーズに登場した『夜より暗き闇』も含めて読んだほうがより面白いです。にしても読み始めで仰天しました。重要なキャラクターがっ…。コナリーさん、作家としてよく決断しましたねと。大筋としては『ザ・ポエット』で未解決になっている犯人を追う物語となります。ボッシュと『ザ・ポエット』のレイチェルがそれぞれの思惑で協力していくことになり、そして『わが心臓の痛み』のマッケレイブは物語のなかである重要なポジションに置かれている。ノンシリーズものをボッシュシリーズに集約させてしまうというかなりの力技。しかし無理矢理感がないのがコナリーの巧さでしょう。犯人をもう少し描き込んで欲しかったような気もしますが、二転三転していくストーリーはかなり面白く一気呵成に読んでしましました。
コナリーは刊行順に読まないと楽しめない刊があるのが人に薦めるうえで難しいのがもったいない。でも地道に刊行順に呼んでいくとサプライズがある。いやそれは語弊があるな…今回はいわゆるサプライズでは無いから。とりあえず、え〜〜、え〜〜、そこ?という驚きを味わえます。

天使と罪の街(上) (講談社文庫)

天使と罪の街(上) (講談社文庫)

天使と罪の街(下) (講談社文庫)

天使と罪の街(下) (講談社文庫)