ロビン・ホブ『道化の使命 仮面の貴族』全3巻(創元推理文庫FT)
獣と絆を結ぶ〈気〉の力。遠見をし、遠くの仲間と意志を伝えあう〈技〉の力。デューティフル王子はそのどちらもを併せもっていた。だが〈技〉の師となるべき父ヴェリティはすでに亡く、六公国では忌まれるがゆえに〈気〉をもつことは公にはできない。そんな王子を導くことができるのは、同じくふたつの力を持つフィッツだけ。いやいや王子の教育を引き受けたフィッツだったが、意外なところに〈技〉をもつ人間がもうひとりいた。(東京創元社:http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488562106)
ファーシーアの一族の物語の続編、<道化の使命シリーズ>第二弾です。第一弾『黄金の狩人』が刊行されてから2年、待ちに待ったというところです。しかしこう間が空いてしまうと物語の細かい部分を忘れてしまうので読み始めてすぐは人物関係や設定を思い出せずなかなか物語に入り込めず。いいなり読むのではなく前作を再読しておけばよかった。しかし、このシリーズは大好きですし読む進めるうちに思い出し、物語世界を把握できてからは一気呵成。
前作のラストでフィッツの過酷な運命のなかにどことなく前向きな空気を感じてもしかしたらたら少しは明るい方向へいくかな?なんて期待していたのですが、そのままの方向には行きませんでした…。相変わらずファーシーアは過酷で哀しみが覆う世界でした。皆が傷つきもがきながら生きていく。
今回はフィッツの自己肯定できないがゆえの頑なな心が周囲を傷つけてしまう姿も描かれます。前作まではひたすら運命に翻弄された可哀想なフィッツとして描かれた彼ですが、今回はその大人になりきれなさを暴かれていきます。ロビン・ホブさん、容赦ない…キツイですわ〜。
それにつけても華やかななかに陰影を持たせた世界構築のなかで生きる一クセも二クセもあるキャラクターたちがとても魅力です。早く続編が読みたいです。
- 作者: ロビン・ホブ,鍛治靖子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/04/11
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