ロビン・ホブ『黄金の狩人<道化の使命>』全3巻(創元推理文庫FT)

六公国を危機に陥れた“赤い船団”が撃退されて十五年。王ヴェリティが去って後、王妃が一粒種の王子を守りながら、なんとか平穏に国を治めてきた。一方、第一王子の庶子フィッツ、暗殺者の弟子で、今や一族の〈技〉を継承する数少ない生き残りとなったフィッツは隠遁生活を送っていた。だが、かつての師の突然の来訪が、彼を運命の渦に放り込むことに……。圧倒的なスケールの異世界ファンタジー〈ファーシーアの一族〉続編登場。(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488562076)

ファーシーアの一族の物語の続編、<道化の使命シリーズ>第一弾。うれしい〜〜、このシリーズ待ちわびておりました。ファーシーアの一族シリーズ(『騎士の息子』『帝王の陰謀』『真実の帰還』)から15年後。前シリーズで過酷な運命に晒されたフィッツはトム・バジャロックとして<気>で結ばれた狼ナイトアイズと息子のように育てている孤児ハップとともに人里離れたところで生活をしていた。ところが過去親密な関係であった人々が訪ねてくるにあたりその隠遁生活からやむなく引き出されてしまう。自分のために生きられず、人のために生きていかなければいけない運命のフィッツの新たな人生と冒険の物語。ファーシーアの一族の物語は明るい物語ではない。哀しみに彩られ、人は何かしらを喪失していく。もちろん得ることもあるのだがそれは「絶対」ではない。今回のシリーズも哀しみに彩られている。しかし、そういうなかでも今回はどこかしら暖かさというものが感じられる。前シリーズではげっそり気力を吸い取られてしんどい気分だったけど、今回はグッタリではあるけど<絆>の優しさに救われた。それでもまだ過酷な運命は待ち受けてはいるのだろうけどね…。

前シリーズでフィッツと深く関わった人物と新たな人物たちの新たな関係がどう進んでいくのか次回作が楽しみ。道化とフィッツの関係は色々と楽しい(笑)。それにしてもナイトアイズが老年になってしまっていたのはショックだった。動物は人の歩みより短いんだよね…。今回は猫たちが大活躍で、きっと次回作にも出てくるんじゃないかと期待。

黄金の狩人1 (道化の使命) (創元推理文庫)

黄金の狩人1 (道化の使命) (創元推理文庫)

黄金の狩人2 (道化の使命) (創元推理文庫)

黄金の狩人2 (道化の使命) (創元推理文庫)

黄金の狩人3 (道化の使命) (創元推理文庫)

黄金の狩人3 (道化の使命) (創元推理文庫)