米澤穂信『ボトルネック』(新潮文庫)

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。(新潮社:http://www.shinchosha.co.jp/book/128781/)

ポスト・セカイ系と評される米澤穂信の作品をなんとなく手に取ってみました。以前から良い評判を聞いていたこともありどんな作風かなと。この1作だけで評価するのもなんですがポスト・セカイ系というのは納得。主人公の自分語りが「全世界」になっていて、この作品ではそこに捻りが入る。もしもの平行世界に飛び込んでしまった「ぼく」に突きつけられた「世界」。その救いのなさを少しづつ解き明かしていく語り口が上手いです。

ボトルネック (新潮文庫)

ボトルネック (新潮文庫)