デボラ・クロンビー『警視の孤独』(講談社文庫)

連続放火、殺人、誘拐。寂しさの連鎖が悲劇を招く。不審火に残された新たな犯罪の鍵。うら若き女性消防士の協力のもと、警視キンケイドと、パートナーのジェマが難事件に挑む。
ヴィクトリア朝の歴史ある館が火事になった。持ち主は、地域の再開発に反対していた大物政治家。焼け跡からは女性の遺体が見つかる。警視・キンケイドと警部補・ジェマをあざ笑うかのように、犯人は第2、第3の放火を企て、行方不明者は10歳の少女をはじめ、女ばかり3人に。警視の家庭にも危機が迫る!(講談社http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2765802)

キンケイド警視シリーズ、久々の翻訳。もう翻訳されないのかと危惧しておりましたが出版されてよかったです。しかし、前作の内容、だいぶ忘れ気味(^^;)、もう少しコンスタントに出版してくれないかなあ。
今回の『警視の孤独』はかなり盛り沢山な内容です。ひとつの事件にみえたものが様々な要因を絡んだ複数の事件へと発展していきます。主人公は男性ですが、女性作家ならではの視点で家族、人との繋がりの部分を丁寧に描いてきた作者ならではのミステリ。事件が多すぎて少し散漫な部分もありますが、描きたかったであろう部分はしっかりと伝わってきます。この作家の子供たちの描き方が好き。

警視の孤独 (講談社文庫)

警視の孤独 (講談社文庫)