スティーグ・ラーソン『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』上下(早川書房)

宿敵ザラチェンコと対決したリスベットは、相手に重傷を負わせたものの、自らも傷つき、瀕死の状態に陥ってしまった。現場に駆けつけたミカエルの手配で、リスベットとザラチェンコは病院に送られ、一命を取りとめる。だが、彼女を拉致した金髪の巨人は逃走してしまう。この事件は、公安警察の特別分析班の元班長グルベリに衝撃を与えた。特別分析班は、政府でも知る人の少ない秘密の組織で、ソ連のスパイだったザラチェンコの亡命を極秘裡に受け入れ、彼を匿ってきた。今回の事件がきっかけでそれが明るみに出れば、特別分析班は糾弾されることになるからだ。グルベリは班のメンバーを集め、秘密を守るための計画を立案する。その中には、リスベットの口を封じる卑劣な方策も含まれていた……(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/117241.html)

図書館から借り本。第二部からの続きです。出来れば第二部と三部は一気に続けて読んだほうが面白いと思います。殺人犯として追われ重症を負ったリスベット。彼女の無実をミカエルが警察に話しても相手にされません。病院に収容されたリスベットは裁判を待つことになります。そこで彼女に絡んだ様々な人間が動き始め無実を信じ動く者、敵対し陥れようとする者の攻防が始まります。後半の裁判のシーンが見事です。サスペンス物、リーガル物、アクション物をmixしたような物語。
第三部通していえることはスウェーデンという国をしっかり描こうとしているということと、根底のあるテーマが女性虐待にあるということ。そこが強固であるために読み応えのある作品に仕上がっていると思います。作者はこの第三部作だけ残して亡くなりました。非常に残念なことです。『ミレニアム』第四部も読みたかったですし、ジャーナリストとしての視点を活かした作品をもっと読みたかったです。

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 上

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 上

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 下

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 下