マシュー・パール『ポー・シャドウ』上下(新潮文庫)

前作『ダンテ・クラブ』がなかなか面白かったので期待したんだけどイマイチでした〜(涙)。題材がすんごく良いのにあまり面白くない…。

エドガー・アラン・ポーが死んだ。彼の文学をこよなく愛し、文通もしていた弁護士クウェンティン・クラークは、不可解な「最後の五日間」の真相を突き止めようと決意。名探偵デュパンのモデルと思しき犯罪分析の天才デュポントの協力を仰ぐべくパリに渡る。だが、自分こそ本物のモデルだと主張する“デュパン男爵”が現れ……。
http://www.shinchosha.co.jp/book/216353/

ミステリ好きなら飛びつくような題材ですよね。私も飛びつきました。歴史ミステリ大好きだし。小説のなかにポーの作品のエッセンスを散りばめてたり、前作『ダンテ・クラブ』と歴史的に同時期なのでチラッとそのことも出てきたり、くすぐりはいっぱいあるのに…。それなのにどうも面白くなりきれてない。歴史ミステリとしては19世紀半ばのボルティモアやパリの風俗がよく描かき込まれているのだけど、それが小説としてうまく機能してない。またデュポントやデュパン男爵&周辺のキャラクターはかなり魅力的、だけどやっぱり何か使い方を間違ってるとしか思えない。どこか中途半端というか。まあ、何より主人公がまったく魅力的じゃないのが魅力的な小説になりきれない一因なのかも。

ポー・シャドウ 上巻 (新潮文庫)

ポー・シャドウ 上巻 (新潮文庫)

ポー・シャドウ〈下〉 (新潮文庫)

ポー・シャドウ〈下〉 (新潮文庫)