ウラジーミル ソローキン『ロマン』全2巻(国書刊行会)

き、きもちわるい…。最終章でいきなり脳天をがっつり殴られた。つか、なんだよ〜、これ、いやだよ〜。最終章、まともに読めた人います?一字一句、きちんと追うことなんて無理。文字を追うことがこんなに苦痛になるとは。内容に眩暈、文字に眩暈ですよ。ほんとに気分が悪くなってきた…。


この最終章さえ無ければとっても素敵な、それこそロマン溢れる文学なのに〜〜〜。この小説のタイトルの「ロマン」って、人の名前なんですけどね。叙情溢れる恋愛小説って意味の「ロマン」も掛けているわねと思わせる情景描写が美しい小説なわけですよ。そう途中まではっ。もうね「必殺ちゃぶ台返し小説」と呼ばせていただきます、これ。この本を読んでる時、ちょうどラジオからロシア作曲家のボロディンとかリムスキーの曲が流れてきてて、それが相乗効果で、なんともキラキラした文学らしい文学だなあなんて思いながら読んでいたんです。19世紀のロシアの生活が活き活きと描かれていて、また登場人物たちも一癖ありながら魅力的。もちろん結末がどーなるか、帯にも裏表紙にも書いてありますから、このまま綺麗では終わらないとは思ってましたよ。けど、許容範囲だろうと…。でも…うわ〜ん、これって、これって、何〜〜〜。許容範囲とかそういう問題ではな〜い。美しいクラシック音楽を聴いているうちに、耐えられないほどのノイズがいきなり耳に飛び込んできたって感じです。崩壊、そして無意味。意味ってなに?考えると怖いよ。でもねえ、現実世界も同じだよね。意味のあったものが意味のないものになるのは簡単。意味がなくなることが雄弁に意味を持つ。


でも嫌いな小説ではないです。ただ衝撃が大きいって感じでしょうか…あうう。小説好きは読んだほうがいいと思いますが、体調が良い時にどうぞ。あ、積極的に「読んでね」とは言いません。


ちなみに序章と最終章ってlinkしてる??

ロマン〈1〉 (文学の冒険)

ロマン〈1〉 (文学の冒険)

ロマン〈2〉 (文学の冒険)

ロマン〈2〉 (文学の冒険)