オリヴァー・ペチュ『首斬り人の娘』(早川書房)

1659年。ドイツ南部の街ショーンガウで子供が殺された。遺体にあった奇妙なマークを見た住人たちは、魔女の仕業だと殺気立つ。そして産婆のマルタが魔女と疑われて投獄される。だが、処刑吏クィズルとその利発な娘マクダレーナは、彼女の無実を確信していた。マクダレーナに恋する医者ジーモンとともに、二人は事件の真相を探りはじめる。しかし、そこに第二の殺人が起きる。街の有力者たちがマルタの処刑を求めるなかクィズルらは真犯人を突き止めることができるのか?(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/211864.html)

17世紀半ばのドイツの片田舎ショーガウが舞台の歴史ミステリ。面白かった!主人公が処刑吏という珍しい設定。処刑吏のイメージが変わりました。魔女狩りでの無知ゆえの群衆心理の怖さや共同体や自分の懐を守るために弱者を切り捨てる権力者たちが描かれ、それを知識でもって正していこうとする主人公たちが描かれていく。古い知識やシステムと近代的な知識のせめぎ合い的な側面があってそのバランスが好み。

首斬り人の娘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

首斬り人の娘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)