ミネット・ウォルターズ『遮断地区』(創元推理文庫)

バシンデール団地に越してきた老人と息子は、小児性愛者だと疑われていた。ふたりを排除しようとする抗議デモは、彼らが以前住んでいた街で十歳の少女が失踪したのをきっかけに、暴動へ発展する。団地は封鎖され、石と火焔瓶で武装した二千人の群衆が襲いかかる。医師のソフィーは、暴徒に襲撃された親子に監禁されて……。(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488187101)

悪意を描くという部分は相変わらずですがいつものウォルターズからするとちょっと雰囲気が違う作品。小児性愛者を題材に少女失踪事件と大規模な暴動に発展してしまうデモの様子を並行して描き出す。面白かったけどちょっと散漫な感じがした。平行して描かれる少女失踪事件とデモの様子が絡み合わないのが散漫な印象を受けた要因かな。低所得者層がいる団地での暴動の様子は凄まじかった。集団心理に怖さにゾッとする。少女失踪事件のほうがどうも中途半端だけど簡単に解決できる問題じゃないってことなのかもしれない。

遮断地区 (創元推理文庫)

遮断地区 (創元推理文庫)