北野勇作『かめくん』(河出文庫)

かめくんは、自分がほんもののカメではないことを知っている。カメに似せて作られたレプリカメ。リンゴが好き。図書館が好き。仕事も見つけた。木星では戦争があるらしい……。(河出書房新社http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309411675/

絶版になっていた徳間デュアル文庫『かめくん』が河出書房から復刊。大好きな本なので応援のために河出文庫版も購入。さっそく再読致しました。
かめくんはかめくんでありかめくん以外の何者でもない。淡々とどこかノスタルジックに童話的に書かれているけどその底辺には不穏さや哀しみが流れている。そんなSFです。未来の話だけど「今」という時間が漂う、そんな不思議な感覚。「そこに居る」ことの幸せと哀しみ。存在意義、記憶、それはどこへ行き着くのだろう。夢が漂い、そして想いはどこかに辿り着く。
読んでる途中でもう切なくて涙が出そうになりつつウルウルしながら読了。やはりツボでした。徳間文庫版より情景が明確になった感じもしたけど徳間文庫版と比べてみよう。かめくん感想Linkを作成してからもうこんなに経つんだね〜と自分の変わらなさにも泣きそうになりました(苦笑)

かめくん (河出文庫)

かめくん (河出文庫)