ロイド・シェパード『闇と影』上下(ハヤカワ・ミステリ文庫)

1811年12月7日。ロンドン郊外ワッピング地区のラトクリフ街道沿いで服地商を営むティモシー・マーの一家を悲劇が襲った。マー夫妻と赤ん坊、それに住み込みの徒弟の四人が、無残に殺害されたのだ。恐怖に震えあがる人々は迅速な犯人逮捕を望むが、捜査は進まない。そこで、テムズ河川警察に所属するホートン巡査は独自の捜査を開始するが、やがて第二の事件が……(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/438301.html)

「ラトクリフ街道の殺人」として名高いイギリスの犯罪事件をネタした小説です。犯人とされた人物が自殺したことで解決したとされていた事件ですが今では他に犯人がいる可能性が高いとされている事件。なので事の真相を丁寧に推測していくミステリかと思って読み始めたのですがどうも期待していたものとは違っておりました。どちらかというと歴史ファンタジィー冒険小説的な感じ。事件の起きた19世紀イギリスと16世紀半ばに生まれた男の物語を交互に描いていき、それが交差した時にという手法。実在する歴史とそのなかで作者が空想した物語のmixのさせ方というか飛躍のさせ方がなんというかあまり上手じゃない印象。それなりに面白くは読んだですが全体的に乗り切れませんでした。小説としてこなれないし翻訳ももうひとつだったかも…。

闇と影 (上) 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

闇と影 (上) 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

闇と影 (下) 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

闇と影 (下) 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕