アン・リンセル監督『ピナ・バウシュ 夢の教室』

ピナ・バウシュ 夢の教室』はピナ・バウシュが企画したピナの代表作『コンタクトホーフ』を10代(高校生)の少年少女40人たちに十ヵ月かけて舞台で踊らせるというプログラムの様子を追ったドキュメンタリー。この映画の主役は十代の子どもたち。でもそこにピナの大きな視点が存在していた。ピナが出演しているから、ということではない。このドキュメンタリーの視点そのものにピナの息遣いがあった。やはり私はピナの視点、世界観が好きだ。もしピナを知りたかったらピナ不在の映画『pina ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』より是非この映画を観てほしい。ほんの一端だけど触れられると思う。この映画はドキュメンタリーとしても秀逸。十代の子たちの未熟さ、痛々しさ、そして強さをしっかりみつめている。彼らに与えた課題『コンタクトホーフ』という作品は十代の子が表現できるとは思えない作品。よくぞこの作品をやらせる気になったものだ。指導者たちは十代の目線を降りることなく、「ここまで来られる?おいで、やってみて。そしてあなたたちというものを教えて」そういう教え方をする。そして少年少女たちの瑞々しい感性が少しずつ花開いていく。良い映画でした。