マイクル・コナリー『死角 オーバールック』(講談社文庫)

深夜、ロスの展望台で発見された男の射殺体。後頭部に二発。怨恨か処刑か――。殺人事件特捜班での初仕事に意気込むボッシュだが、テロリストが関与している可能性が浮上。FBIの捜査介入に阻まれながらも、ボッシュはひたすら犯人を追う。

ボッシュ・シリーズ13作目。「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」に連載されたという作品、そのせいか今までと少々肌合いが違います。面白いんですけど派手な展開を意識した感じがありちょっと薄味かな。
前作『エコー・パーク』より半年、ロス市警特別捜査班に移動となり若いパートナーと展望台で射殺された男性の事件にあたるボッシュ。調べていくうちの国際テロの可能性が出てきて…。事件が珍しく大きく発展していきますが、そこに相変わらず我流を崩さないボッシュがどう絡んでいくのか。テンポよく事件が描かれていきます。ラストはこのシリーズらしいオチです。レイチェル・ウォリング捜査官が再登場し、ボッシュとレイチェルの付かず離れずな関係がなかなか面白かったです。でもこの二人も結局はくっ付かないんだろうなあ。