毎日新聞『<市川染五郎：花形歌舞伎「女殺油地獄」で与兵衛 不気味さ、なまめかしさを』

毎日新聞にも『二月花形歌舞伎』に臨む染ちゃんのインタビュー記事が載りました〜。大阪松竹座が26日に無事千穐楽を迎えましたし、二月へ向けて稽古に入るところでしょう。稽古日数が少ない状態でどこまで演じてくるか。初日が楽しみです。

市川染五郎：花形歌舞伎「女殺油地獄」で与兵衛　不気味さ、なまめかしさを

　市川染五郎が２月のル　テアトル銀座の「花形歌舞伎」第２部で「女殺油地獄」の与兵衛に主演する。油屋の放蕩（ほうとう）息子の与兵衛が同業者の妻お吉を殺して捕らえられるまでを描いた、近松門左衛門作品だ。

　染五郎の初演は２００１年６月の博多座。好評のため、早くも同９月に再演された出世役でもある。また演じたいと思いながら１０年が経過したと話す。

　「私の家（松本幸四郎家）には縁のない演目でしたが、やりたくて松嶋屋のおじさん（片岡仁左衛門）に教えていただきました。だらしないし、悪さもするが憎めないキャラクター。それが殺しまでしてしまいます」

　カットされることの多い、与兵衛が捕縛される場面を上演し、脚本を担当する齋藤雅文が筋もわかりやすく通す。

　「与兵衛は殺人にしても他人事で改心もしない。そこを明確に出したい。計画性もなく、言うことも変わりますが、その場、その場では本気なんです」

　与兵衛の不気味な心理の変化と同時に、床に広がる油にまみれてのお吉殺しも見せ場のひとつ。

　「刀を抜いた自分を最初は怖く思っていたのが、次第にお吉を殺すのが楽しくなってくる。殺し場が一つの絵になっている。色模様のようになまめかしく作られています」

　お吉は市川亀治郎。

　染五郎のもう一役が、１部で亀治郎が７役を演じる「お染の七役」の鬼門の喜兵衛。すごみのある敵役だ。「すごいことをするのではないかと思わせておいて何もしない役です。ひとつひとつの動作を大仰にやるのが大事です」

　２月１〜２５日。問い合わせは０５７０・０００・４８９へ。【小玉祥子】

毎日新聞　2011年1月27日　東京夕刊
http://mainichi.jp/enta/geinou/news/20110127dde012200054000c.html