ディーン・クーンツ『オッド・トーマスの予知夢』(ハヤカワNV文庫)

オッド・トーマスは、海辺の町に引き寄せられるようにしてやって来た。そこで暮らし始めた彼は、海と空が真っ赤に染まる悪夢を何度も見るようになり、桟橋で謎めいた若い女性アンナマリアと出会う。彼女はなぜかオッドのことを知っているようだった。悪夢と関係のある怪しげな男たちから彼女を守りつつ、この町で何が起きているか調べるオッドは、やがて恐るべき陰謀を知ることに! (早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/31230.html)

オッド・トーマスシリーズの4作目。解説の瀬名さんが書いているようにオッドというキャラクターはクーンツへのギフトだと思う。純粋な等身大の若者の「善きこと」をしていくことへの信念に心温まる。読者の私も切なくもどこか暖かい物語のこのシリーズが好きだ。ただ、4作品目でちょっと様相が変化しはじめた。その変化に私は戸惑う。こういうオッドを見たいわけじゃない。「暴力」を否定することから始まってるこのシリーズだったのだけど、今作品はいくら「善きこと」をなさなければいけないとはいえ積極的に動く。う〜ん、なのでちょっと好みではない。また露骨にキリスト教がモチーフに入り込んじゃったし…。5作目はまだ書かれてないというが、どの方向に行くのだろう…。

オッド・トーマスの予知夢 (ハヤカワ文庫NV)

オッド・トーマスの予知夢 (ハヤカワ文庫NV)