マイクル コナリー『エコー・パーク』上下(講談社文庫)

サンジェルスのエコー・パーク地区で、女性2人のバラバラ死体を車に乗せていた男が逮捕された。容疑者は司法取引を申し出て、死刑免除を条件に過去9件の殺人も自供するという。男の口から語られるおぞましき犯罪。その中に未解決事件班のボッシュが長年追い続ける、若い女性の失踪事件も含まれていた。(講談社http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2766272

ボッシュ・シリーズ12作目。前作でロス市警に戻り未解決事件班で働くボッシュ。13年前に担当し未だ解決していないマリー・ゲスト殺人事件は容疑者の目星をつけていたものの解決の方向には進展していなかった。ところが別な事件で逮捕された男が13年前の殺人も自分だと自供しはじめる。ボッシュは目星をつけた容疑者とはまったく違う犯人に驚きつつも、犯行を立証するために被害者マリーが埋められている現場に立ち会うのだが…。
相変わらず2転3転させる緻密なストーリー運びが上手い。今回もボッシュは被害者やその家族たちの無念を晴らそうという強固な意志で突き進む。刑事としてギリギリの線で動いてしまうボッシュが今回も描かれます。コナリーのプロットの上手さが際立つ本作品ですが、個人的には犯人像の書き込みの薄さが気になりました。面白いキャラクターを作り出しているのですがその面白さを描ききれてないような。ちょっと残念。前作『終結者たち』が良すぎたのでそのクオリティを求めてしまいました。

エコー・パーク(上) (講談社文庫)

エコー・パーク(上) (講談社文庫)

エコー・パーク(下) (講談社文庫)

エコー・パーク(下) (講談社文庫)