キャロル ・オコンネル『愛おしい骨』(創元推理文庫)

十七歳の兄と十五歳の弟。二人は森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、時が止まったかのように偏執的に保たれた家。何者かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつひとつ置いてゆく。一見変わりなく元気そうな父は眠りのなかで歩き、死んだ母と会話している。何が起きているのか。次第に明らかになる町の人々の秘められた顔。(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488195120)

久々にキャロル・オコンネルが翻訳されました。傑作『魔術師の夜』以降、訳されていないマロリーシリーズではなくノンシリーズ作品です。今回の作品、『愛おししい骨』はいわゆる帰郷もの。家政婦ハンナに手紙で懇願され20年ぶりに帰郷した元陸軍捜査官オーレン。20年前に失踪した弟の骨が少しづつ家の前に置かれていること知り、真相を探ることになる。

閉鎖的でどこか奇妙な住人達の本当の姿を浮き彫りにし、それはまたオーレン自身の再生の物語にもなっていく。登場人物たちはみなどこかヘンだったり歪んでいたりする、人間関係もしかり。残酷でグロテスク、それでいて愛らしくて切ない。そしてどこか御伽話のようでもある。まさしくオコンネル節。特にオコンネルが描く女性たちは本当に魅力的だ。どの女性たちも美と醜が混在している。その両方の極端さが魅力なんだろうな。ミステリとしてはちょっと弱いかもしれない。またキャラクターにクセがあるし、物語が地から5cmほど浮いてる感があって散漫といえば散漫。好き嫌いは分かれる物語かもしれない。でも、いわゆる「物語」が好きな人は絶対に好きだと思う。

いわゆるフリークものが好きな人は絶対に読んで。映画でいえばティム・バートンテリー・ギリアムが好きな人。本ならマキャモンあたり好きなら絶対ハマる。今回の作品、オコンネルの趣味爆裂なんじゃないかなあ。改めて私はオコンネルの作品が好きだと確信した作品だった。マロリー・シリーズの続き、読みたいよ〜〜。出して〜〜〜。

愛おしい骨 (創元推理文庫)

愛おしい骨 (創元推理文庫)