マイクル・コナリー『わが心臓の痛み』上下(扶桑社文庫)

連続殺人犯を追い、数々の難事件を解決してきたFBI捜査官テリー・マッケイレブ。長年にわたる激務とストレスがもとで、心筋症の悪化に倒れた彼は、早期引退を余儀なくされた。その後、心臓移植の手術を受けて退院した彼のもとに、美しき女性グラシエラが現われる。彼女は、マッケイレブの胸にある心臓がコンビニ強盗に遭って絶命した妹のものだと語った。悪に対する怒りに駆り立てられたマッケイレブは再び捜査に乗り出す。因縁の糸に繰られ、事件はやがてほつれ目を見せはじめるが…。(「BOOK」データベースより)

1999年に、アンソニー賞、マカヴィティ賞、フランス推理小説大賞を受賞したコナリーのノンシリーズ。コナリー『ザ・ポエット』同様にちょっと技巧に走りすぎてる気もするけど小説としてかなりこなれている分、面白いです。この作品は2転3転させていくプロットの組み立て方の巧さや、物語運びの巧さなどが際立つ。巧さという部分でジェフリー・ディーバーを少し連想。また『ザ・ポエット』とは違い、犯人像の描き方も今回は良かった。サスペンスミステリとしてかなり上質。ただ個人的にはこういう題材の場合、恋愛を絡めないほうが好み。恋愛を絡めたことで物語に少し緩みがでてる。題材、物語運びがかなり好き系だっただけにチト残念。
つっこみどころも結構あって、主人公は心臓移植してまだ3ケ月なんだけど、その設定はどーなのかという行動。1年後、いやせめて半年後くらいの設定にしとけばよかったのに。で、女性の扱いがまた同じパターンなんだけど…。

わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー)

わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー)

わが心臓の痛み〈下〉 (扶桑社ミステリー)

わが心臓の痛み〈下〉 (扶桑社ミステリー)