湊かなえ『告白』(双葉社)

我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。(双葉社http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-23628-6.html?c=30198&o=date&type=t&word=%E5%91%8A%E7%99%BD)

友人からの借り本。6章からなる独白形式の小説。父親不在(実際にはいる)の母と子の物語。構造の面白さはあるけど小説としては色々と書き込みがあまいというか表面的。表面的なリアル感はあるけど今問題になっている社会的な問題を単に素材として提示してるだけという感じ。エイズに関しての知識不足の面もあるし所詮作り物めいてしまう。黒武洋『そして粛清の扉を』と同系列の小説(いつの作品だっけ?)だなあ。犯罪者のほうが守られていると感じさせる日本の司法へのフラストレーションを物語で晴らすのにはいいんでしょうかね。とはいえ女性教師の復讐も裏を返せばな感じだし…。

告白

告白