ジョン・ハート『ラスト・チャイルド』上下(ハヤカワHM文庫)

少年ジョニーの人生はある事件を境に一変した。優しい両親と瓜二つのふたごの妹アリッサと平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われたのだ。その後まもなく父が謎の失踪を遂げ、母は薬物に溺れるように……。少年の家族は完全に崩壊した。だが彼はくじけない。ただひたすら家族の再生を信じ、親友と共に妹の行方を探し続ける。(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/433103.html)

『キングの死』、『川は静かに流れ』に続くジョン・ハートの三作目。小説としてだんだんこなれてきている気がする。この作品はアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞と英国推理作家協会賞最優秀スリラー賞を獲っています。賞を獲るだけあってプロットがなかなか凝っています。
基本はジョン・ハートが拘っているであろう「家族」の物語です。いかにもアメリカの作家らしい物語。物語運びが巧みだし、面白かったんですが個人的には主人公の少年や刑事ハントに思い入れができずハマりきれず。自分の想いに一生懸命なのはいいけど、そこにしか目を向けられなく他を取りこぼしていっても正当化されるキャラは若干苦手。刑事ハントの自分の息子に対する態度と好きになってしまった女の息子への態度の違いが結局は解決から遠ざかっていたんだろ、とツッコミが…。あと「奇跡」とかの使い方も、安易だしなあ。前作の『川は静かに流れ』のほうが好みだったな。

ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)