サラ・スチュアート・テイラー『死者の館に』(創元推理文庫)

一人の若者が殺害された。両腕をベッドの支柱に縛りつけられ、風変わりなブローチをつけていた。それが服喪用装身具だと気づいたクイン刑事は、大学で教鞭をとるスウィーニーに助力を求めた。ところが死亡した若者は彼女のゼミの生徒で、名門パトナム家の一員であることが判明。ジュエリーの出所に興味を覚えたスウィーニーは、被害者の兄に心惹かれつつ調査をはじめる。死と象徴に彩られた、芸術史家スウィーニー・シリーズ第二弾。(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488270056)

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス『オフィーリア』 の表紙に惹かれて表紙買い。そしたら芸術史家スウィーニー・シリーズ2作目の作品だった…。一応、単独でも読めますが主人公周辺の関係が1作目の事件とかなり絡んできている感じでピンとこないのが難点。

主人公のスウィーニーは墓石や服喪装身具などの死に纏わる芸術を研究している研究者。大学の研究室の学生がモーニングジュエリー(服喪装身具)を身につけ殺されたことで事件に関わっていくこととなる。主人公の職業がちょっと面白く、その薀蓄には興味を惹かれたし、名家同士の確執と謎の題材も面白いのだけど、肝心の物語やミステリ部分がどうも散漫。キャラクター造詣はなかなかユニークなんだけどそのキャラクターに頼りすぎている。ちょっともったいない出来かな。あと主人公の女性がふらふらと気が多すぎて、しかも結構勝手な行動だったりするのであまり感情移入できないのがなあ…。

死者の館に (創元推理文庫)

死者の館に (創元推理文庫)