マイクル コナリー『ナイトホークス』上下(扶桑社ミステリー文庫)

ブラック・エコー。地下に張り巡るトンネルの暗闇の中、湿った空虚さの中にこだまする自分の息を兵士たちはこう呼んだ…。パイプの中で死体で発見された、かつての戦友メドーズ。未だヴェトナム戦争の悪夢に悩まされ、眠れぬ夜を過ごす刑事ボッシュにとっては、20年前の悪夢が蘇る。事故死の処理に割り切れなさを感じ捜査を強行したボッシュ。だが、意外にもFBIが介入。メドーズは、未解決の銀行強盗事件の有力容疑者だった。孤独でタフな刑事の孤立無援の捜査と、哀しく意外な真相をクールに描く長編ハードボイルド。

マイクル・コナリーは2作目『ブラック・アイス』をまず読んでしまったのですがようやく第1作目を手に取りました。主人公ボッシュは一匹狼的資質で組織に馴染めないハードボイルド型の刑事。しかしまた組織のなかにいることが必然になってしまった男でもある。生い立ちによる傷、ベトナム戦争体験者である傷を抱え、その暗い情熱を「刑事」という職業にぶつけている、その生き様が面白い。また刑事物として、最終的には地道な捜査がものをいうという地に足がついた重層的な物語展開もいい。ストーリー構築に甘さはあるものの読み応えがある。やはりシリーズものは順を追って読むべきかもだなあ。地道にボッシュシリーズを読破していくことにしよう。

ナイトホークス〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ナイトホークス〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ナイトホークス〈下〉 (扶桑社ミステリー)

ナイトホークス〈下〉 (扶桑社ミステリー)