ジェフリー・ディーヴァー『スリーピング・ドール』(文藝春秋)

どんな嘘をも見抜く尋問官キャサリン・ダンス。尋問術を駆使し、脱獄した殺人鬼を追う!刑務所から脱獄した殺人カルト教祖を、その技術を駆使して追うダンスは、かつての大量殺人に深い闇があったことを知る。事件の唯一の生き残りである少女の閉ざされた心を開くことはできるのか?(文藝春秋http://www.bunshun.co.jp/book_db/3/27/47/9784163274706.shtml

図書館からの借り本。リンカーン・ライムシリーズ第7作目『ウォッチメイカー』に登場した尋問官キャサリン・ダンスを主人公にした作品。なかなか面白かったです。このところのリンカーン・ライムシリーズにみられるあざとさは少なめ。どんでん返しのための作為が見え過ぎちゃうのが苦手な私はこの程度のほうが良いです。
タイトルにある『スリーピング・ドール』と呼ばれる少女はあまり本筋には絡みません。スリーピング・ドールを中心に進むと思ったので、そこは少しばかり肩透かし。犯人側の視点と警察側の視点を交錯させて描くのは相変わらず。この手法のほうがどんでん返しが活きるからでしょうね。大事な情報を読者にうまく隠すやり方などジェフリー・ディーヴァーストーリーテラーぶりは本当に見事。キャラ作りも上手いし、なんだかんだ読ませます。ただ取り上げる題材が良いのに人物像や事件背景の掘り下げが少ないのも相変わらず。エンターテイメントとしの面白さに留まるのがもったいない。

スリーピング・ドール

スリーピング・ドール