江戸川乱歩『人間椅子 江戸川乱歩ベストセレクション(1)』(角川ホラー文庫)

貧しい椅子職人は、世にも醜い容貌のせいで、常に孤独だった。惨めな日々の中で思いつめた男は、納品前の大きな肘掛け椅子の中に身を潜める。その椅子は、若く美しい夫人の住む立派な屋敷に運び込まれ・・・・・・。椅子の皮一枚を隔てた、女体の感触に溺れる男の偏執的な愛を描く標題作ほか、乱歩自身が代表作と認める怪奇浪漫文学の名品「押絵と旅する男」など、傑作中の傑作を収録するベストセレクション第1弾!

乱歩フォーラムの時に北村薫さんがお気に入りの1編として取り上げていた「鏡地獄」が入っていたので手に取りました。乱歩は学生時代にポツポツと読んでいたのだけど、その当時は海外ものが好きで乱歩はあまりツボに入らなかった記憶がある。で、今回改めて読んだら…思いっきりツボ。あれ?こんなに私好みだったっけ?しかもこのセレクション8編すべて読んだものばかりだよ。ほとんど読んだことないと思っていたら、読み始めたら知ってるのばっかり。そういう意味では当時個人的にツボではなかったにしろ、覚えているだけのインパクトはあったってことか。さすがに「人間椅子」は代表作の一つなので覚えてましたけど他の作品なんてタイトルはまったく覚えてなかった…。たまたまこのセレクションが私好みなのかもしれない。ほとんどが幻想・怪奇系だし。乱歩の短編は読み直さないといけないかも。

収録作品:「人間椅子」「目羅博士の不思議な犯罪」「断崖」「妻に失恋した男」「お勢登場」「二廃人」「鏡地獄」「押絵と旅する男