楊逸『金魚生活』(『文學界 9月号』文藝春秋)

中国国籍の第139回芥川賞受賞作家、楊逸さんの受賞後第一弾の作品です。芥川受賞作『時が滲む朝』を読まずにいきなりこの作品がお初。たまたま松尾スズキさんの『女教師は二度抱かれた』を読みたくて『文學界 9月号』を購入したから、という理由ですが、久々に話題の作家の作品を読んでしまいました(笑)


確か受賞作(『時が滲む朝』)やその前の候補作(『ワンちゃん』)では日本語の使い方が拙いと評されていたように思いますが、確かにそういう部分はあるものの、それが独特の言い回しになっていて文章に面白味が出てるような気がしました。どことなく骨太さがあって素朴な力強さを感じます。内容は、中国人の小説だ、という強烈な印象。もうね感覚が、違うんですよ。それがすごく面白かったです。一人の中年女性を描いた小説なんですが、その閉塞感に満ちた生活の描写になんだか圧倒させられました。匂いが強烈なんですよ(笑)実際匂うわけじゃないのにね。この作家の日本人が描く小説には無い妙な濃さとか線の太さを感じさせる物語、そんなとこが評価されたのかな?なんて思いました。