岩松了作・演出『夏ホテル』DVD鑑賞

2001年にパルコ劇場で公演されたシアターナインス5周年記念公演『夏ホテル』を観ました。ドイツの避暑地、バーテンワイラーのホテルでの2日間の物語。岩松了さんの芝居って淡々としていてどこか緊張感を強いられますね。台詞のひとつひとつを聞き流せない。すべてが意味ありげ。シニカルでどこか切ない人間模様。岩松さんのチェーホフリスペクトな芝居でもあるのかも。
シアターナインス10周年記念公演『シェイクスピアソナタ』でもその場にいない人物がリアルに立ち上がり物語を動かしていましたが、『夏ホテル』でもマジシャンである主人公の替え玉ダミーが来られないというところから物語が転んでいきます。きちんとした起承転結がある芝居ではないのですがじんわりとした余韻が残る。人と人の関わりのなかのその時々での温度差がよく描けている。この芝居、意味を求めるととても難しいのだけど、そのなかにある空気感がとても良いです。生で観たかった。岩松了さんはやはり今後なにかで観たい作家かも。獅堂くんの『羊と兵隊』を観るべきだったか。
今観るとメンバーが凄いなあと。ノグチ@松本幸四郎さんと相良@串田和美さんのやりとりがなんだか可笑しい。距離感がすごく変なんですよ。同級生同士という設定がいいんだろうな。持ち味がまったく違うところでのバランスが絶妙というか。またこのコンビで何かやってくれないだろうか?カオル@松たか子ちゃんはどことなく初々しさが残っていて、思いっきり背伸びしてる20代の女の子。感情を爆発させるとこ、やはり上手い。トミ@松本紀保さんはイライラ虫に囚われた女性。なんか、いるような、いなさそうな不思議な感触のキャラクター。にしても紀保さん、スタイル良すぎです。鍋田@岩松了さんはずるいです(笑)美味しいとこを持っていく。ドイツ語がとてもお上手でビックリ。