ジョナサン・キャロル『薪の結婚』(創元推理文庫)

想い出に値する出来事があるたびに木片を拾う。人生が終わりを迎えるとき、それを薪にして火を熾す――“薪の結婚”。教えてくれたのは最愛の人。彼と住むこの館ですべては起きた。死亡した恋人の来訪、いるはずのない子どもたちの笑い声、知り得なかったわたしの釤罪”。罪と罰、そして贖いの物語は、あらゆる想像を凌駕する結末を迎える。(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=3837)

ジョナサン・キャロルらしいダークファンタジィーでした。このところの作品はダークな部分はだいぶ影を潜めてきたかなという印象はありますが、相変わらず「生と死の境界線」がモチーフの物語。第一部はほとんどロマンス小説。しかしただのロマンス小説なわけがなく、徐々にキャロルらしい捻りが加わってじわじわと日常が侵食されていく様が描かれていきます。

ジョナサン・キャロルは人間のエゴはどう償えるのか?という部分に最近興味を持っているんでしょうかね。独特の捻りはあるものの、割とストレートな物語作り。眩暈のする悪夢のような初期作品の物語性を期待するとちょっと薄いです。面白かったけど、物語としての吸引力はちょっと減ってるかな。

薪の結婚 (創元推理文庫)

薪の結婚 (創元推理文庫)