ローラ・リップマン『永遠の三人』(ハヤカワHM文庫)

卒業式を目前にひかえた朝、グレンデール高校に銃声が響く。鍵のかかった女子トイレに警察が踏みこむと、そこには三人の女子学生が倒れていた。人気者のキャットが胸を撃たれて死亡し、ジョージーは足に銃弾を受けて負傷。発砲したのは二人とは親友の仲のペリで、彼女は自らの頭を撃って意識不明に……仲良し三人組に何が起こったのか?(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/63011.html

ノンシリーズ作品の『女たちの真実』が面白かったのでまたローラ・リップマンを手に取ってみました。こちらもノンシリーズ作品です。『女たちの真実』でも女性の心理が細かく描写され、そこに説得力を持たせたリップマンですが今回の作品も少女たちの感性を見事に描いていました。
10代の若者の自信と傲慢さ、そしてその裏側にあるコンプレックス。誰しもが光と影、表と裏を抱えて生きている、その自覚がまだない大人になる寸前の少女たちの悲劇。社会に出ることへの不安と困難が少女たちを少しづつ変えていく。少女たちは純粋に生きていた時期を宝物として抱えて、それを「永遠」に守ろうとした。無自覚であることは罪。自覚的であればなお罪。
ローラ・リップマンは現在ミステリ関係の賞を12冠受賞という経歴の作家ですが、伊達に12個も取っていないですね。本当に上手いです。とりあえず他の作品も読もうと思います。

永遠の三人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 リ 5-11)

永遠の三人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 リ 5-11)