ローラ・リップマン『女たちの真実』(ハヤカワHM文庫)

日本では私立探偵テスシリーズで人気のローラ・リップマンのノンシリーズ作品。私はローラ・リップマンはお初です。ミステリ関連の賞を12冠を取っている作家という帯と二人の少女が目を閉じて立っている表紙に惹かれて買いました。

その日、忽然と少女は消えた。数十年後女が現われ、自分はあの時の少女だというが……(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/63010.html)

交通事故を起こしその場から逃げようとした中年女性が30年前に行方不明になったベサニー姉妹のうちの妹ヘザーだと告白。果たして彼女は本物か?捜査をする警察側、ヘザーだと思われる少女、ベサニー姉妹の母親、そして事故を起こした女性の四方向の視点から現在と過去が交錯しつつ描かれていくサスペンスミステリ。話が進んでいってもなかなか真相は見えてこず、かえって謎は深まるばかり。主人公の一人、ヘザーと名乗る女性がかなり自己中心的な性格のため感情移入ができず何か気持ちが引っかかりながらの読書だったのですが、それもまた作者の意図だったのでしょう。サスペンスとして引っ張っていく力は見事です。最後の最後で明かされる真実は想像より哀しいものだった。しかし見出されたことが救いになっているのかなと思う。家族の在り様や愛情といったものの複雑な側面が描かれています。

女たちの真実 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

女たちの真実 (ハヤカワ・ミステリ文庫)