ジェイムズ・W・ニコル『ミッドナイト・キャブ』(ヴィレッジブックス)

元々はCBCのラジオ・ドラマとして書かれたものだそうです。カナダ推理作家協会最優秀長篇賞受賞という帯に惹かれたのと、19歳の男の子が主人公だから青春成長譚だろうという予測の元に購入。

19歳の青年ウォーカーは3歳で孤児となった。やっとよい里親に恵まれて今は幸せに暮らしているが、置き去りにされたときの母の記憶がどうしても頭を離れない。なぜぼくを迎えに来てくらなかったのか? 母は今どうしているのだろう……。とうとうウォーカーは保護時の所持品である、手紙と母らしき少女の写真を手に、都会へ出てきた。就職したタクシー会社で知り合った車椅子の聡明な美女クリスタの手を借りて、母の足跡をたどりはじめる。しかし、調査の妨害をする何者かが現れ、そこには残虐な殺人鬼の影が?!カナダが生んだ名ストーリーテラーの秀作ミステリー。(ソニー・マガジンズhttp://www.catchbon.jp/smg/cb/shop/goods/detail.aspx?goods=013134)

物語構成はなかなか良いし、キャラクター造詣も悪くない。佳作と言っていいとは思うもののどこか吸引力がない。散漫な感じというか、せっかくの題材をちんまり纏めてしまっているというか。ミステリとしても途中で仕掛けがわかる。

ミッドナイト・キャブ (ヴィレッジブックス)

ミッドナイト・キャブ (ヴィレッジブックス)