奥泉光『プラトン学園』講談社文庫

大好きな奥泉さんの作品ですが、気持ちが乗り切れないまま終わってしまいました。


相変わらずの現実と非現実の境界線のお話だし、途中までは面白いんですけど、なんだか題材をうまく使いこなせてない感じ。やりたいことはよーくわかる。だけど使いたいネタを提示しただけで終わっているというか、消化しきれてない。人を描くうえで悪意の感情が強いのも、ちょっと好みじゃないかな。いつもだとヘンだけど愛らしいキャラが多いと思うんだけど、この作品の人物たちがどうにもいやらしいのばかりで。どこか負の感情が残る作品でした。


たぶん、この作品でやりたかったことをきちんと消化して書いたのが『モーダルな事象』だろうな、と思いました。『モーダルな事象』を読み直そう。こちらは読み終わって「希望」があったから。

プラトン学園 (講談社文庫)

プラトン学園 (講談社文庫)