ウォン・カーウァイ監督『欲望の翼(原題:阿飛正傅)』(DVD)

「香港映画を観てみよう」第三弾です。第一弾(「無間道」)、第二弾(「鎗火」)の作品と肌合いがまったく違う映画でした。今のところ、すべての作品の内容をまったく知らないで、事前知識0の状態で観ています。で、『欲望の翼』なんですが、観始めて数分で私、この映画を時間SFだ〜と思って見ちゃったんです(笑)なので、なんか間違った見方をしてしまったような感じです。だって、すごい時間にこだわってるし、映像も独特のセピアブルーで、なんとなくSFぽい感じがしちゃったんだもん。色々オチを推測しながら見てて、後半のほうであれえ?SFじゃなかった、もしやこれってごく普通の恋愛映画?じゃん(笑)。人間関係が同時代にあるんじゃなくて時空を超えてる物語かと…。なので少々がっかり感を感じてしまった部分はなきにしもあらず。


でも映像や役者さんたちにかなり魅力があったので期待値とは違う部分ではとても面白かった。いわゆる絵の作り方がとにかく好みです。物語は少々陳腐な気がしなくもないんだけど、映像と間と台詞でスタイリッシュな映画になっている感じかな。このストーリーラインでも時空が交錯したSFだったらたぶん諸手をあげて賞賛していたとは思う(映像が私のツボ)。


この映画では女性のほうが印象的ですね。地味で芯が強そうなスー、派手だけと情が濃そうなミミ、そしてヨディの養母、それぞれに魅力的でした。男性のほうは主役のヨディがモラトリアム人間で…どうも感情移入しにくくて。甘ちゃんすぎるだろうと。ああいうのが母性本能くすぐるんでしょうが。私は母性本能くすぐり系は好きですがあの手のタイプの甘ちゃんはダメかも。それと友人のほうは許せんだしなあ。自分の感情を押し付け暴力振るうのがもうダメなんで。可哀相とか思ってあげられない。一番、納得できたのはアンディ・ラウが演じた警官かな。


それにしても実はヨディ役のレスリー・チャン、最初誰だかわかんなかった。一応『さらば、わが愛覇王別姫』を観てるし顔の認識をしているアジア俳優の一人のはずだったのに。こんなに幼くて薄い顔だったっけと。でも雰囲気が独特でやっぱり人気俳優になるだけの人だわというのは納得。だってランニングとパンツ一丁の姿でマンボを一人踊る姿がサマなる俳優が何人いるでしょうか。今この映画を思い出すに、あのシーンが印象的だったり。


トニー・レオンがラスト、おまけのように出てきたのにはビックリ。いつ出てくるか、と期待しててなかなか出てこないんで、ガックリしてるとこに出てきました(笑)。このホストのような謎の男はヨディの父親の若い頃?そういうオチ?

欲望の翼 [DVD]

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