アレン・カーズワイル『驚異の発明家の形見函』上下(創元推理文庫)

わりと面白かったには面白かったけど物足りない。上巻はかなり楽しくてわくわくしてたんだけど下巻で失速ぎみ。18世紀末のフランスの雰囲気を描きだしている部分は面白いけど登場人物たちの掘り下げが浅いもんだから物語としては表面的な話で終わる。せっかくいいキャラを揃えてるのに、「そこにいる」ってだけで終わってる。全体的にさらさら。こういう物語には濃密さが欲しい。しかも「驚異の発明家」の部分の驚きがまったくない。だって、主人公が発明するもの、なんだかつまんないだもん。意表をつくようなものを期待しちゃったのよね。しかも回り道させられて、発明家としてそこに辿り付くまでが遅い遅い。だから発明して実現させるまでの過程が全然書き込まれて無い。なんだよっ。そこが一番読みたかった部分なのに〜〜〜。


表紙が素晴らしいです。形見函の中身を忠実に再現。これぞ職人ですねえ。

驚異の発明家(エンヂニア)の形見函〈上〉 (創元推理文庫)

驚異の発明家(エンヂニア)の形見函〈上〉 (創元推理文庫)

驚異の発明家(エンヂニア)の形見函〈下〉 (創元推理文庫)

驚異の発明家(エンヂニア)の形見函〈下〉 (創元推理文庫)