フィリップ・ベッソン『ぼくは死んでいる』 (ハヤカワHM文庫)

これはタイトル買いで、フランス版乙一かと思って買ったんですが…。HM文庫から出版され、売り文句がサスペンスですが中身はミステリでもサスペンスでも無いと思う。サスペンスを求めたらがっくりすると思います。これはNV文庫で出されるべき本ですね。いかにもフランス文学って感じの物語です。死んだ人間が語る自分ルーカと恋人のアンナ(女)、レオ(男)二人の物語。腐りゆく自分の描写があくまでも主観で描かれ、なかなか良いです。淡々と語られる三人の独白が一見平凡なようでとても緻密。しかし、私の感覚的な部分に触れるものが残念ながらあまり無くそれほど印象に残るものでもなかった。ただ、映画にしたらちょっと面白いかもしれないなあと思った。死体の描写が無理かな(笑)