舞台は一期一会

友人と染五郎さんの「操り三番叟」のことが話題にでて少し思ったこと。染五郎さんの操り三番叟は当代一、人形らしくかつ躍動感があった。再演を希望する声が多いのですが個人的にはもうやらないような気がします…。身体が変わったし、なにより事故で筋肉0にしてしまってるからあの操り三番叟ができる筋肉はまだ戻ってないように見受けられる。あくまでも事故後の染五郎さんの動きを拝見しての個人的印象です。
染五郎さんの操り三番叟は勘九郎くんでさえ出来ない動きだったから。あれは長年作りこんだ筋肉とあの当時の軽い身体だったからこそ。いまはかなり体重もありますからね(笑)
染五郎さんはあの事故から生還し舞台に戻ってこれたけどあの時に失ったものは少なからずある。それを感じさせないだけのものをきちんと積み重ねて今の染五郎さんがあると思う。
舞台は一期一会だ。また上演するに違いない、また演じるだろう、またあれが観られるだろう、そのまたは叶うこともあるけど無いことも多い。そして叶ったとしてもあの時のものとは違う。それを心しろ。そう思ってはいるけど時々忘れてしまう。だから観たい、観ておこうと思うものは観られる状況であれば観ていこうと思っています。でも時間、金銭との兼ね合いもありますし、何より気持ちに余裕がないと観る側だけではなく演者に対しても申し訳ないので無理はしないというのも自分のなかできちんと持っておきたいなとも思っている。