米澤穂信『さよなら妖精』(創元推理文庫)

1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。謎を解く鍵は記憶のなかに――。(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488451035)

ここんとこ身体的にもだけど精神的余裕がなくて読書皆無だったけどようやく本を久々に手に取れた。米澤穂信さよなら妖精』は青春ミステリの傑作だ。この作品、視点のありようが素晴らしい。いわゆる日常系だけどそこから世界を押し広げた。若書きぽい粗さもあるけどそこがまた良い。米澤穂信セカイ系じゃないよ。もっと視野が広い。本人の志向がどこにあるのかは知らないけど『折れた竜骨』を書かせて成功させたのは米澤穂信にこの視点があったからこそだと思った。素晴らしい作品でした。