ネレ・ノイハウス『白雪姫には死んでもらう』(創元推理文庫)

空軍基地跡地の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明。折しも、犯人として逮捕された男が刑期を終え、故郷に戻っていた。彼は冤罪だと主張しつづけていたが村人たちに受け入れられず、暴力をふるわれ、母親まで歩道橋から突き落とされてしまう。捜査にあたる刑事オリヴァーとピア。人間のおぞましさと魅力を描いた衝撃の警察小説!(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488276065)

『深い疵』に続いて邦訳された刑事オリヴァー&ピアシリーズ第二弾です。面白かったわ〜、今のところ酒寄さん訳のミステリに外れ無しかも。
この作品はドイツの歴史の暗部を描いた『深い疵』とは趣きをがらりと変えた趣向。狭い村で構成された閉鎖社会での人間のエゴが絡んだ一筋縄ではいかない歪みを描き出していきます。また事件を追うオリヴァーがプライベートで問題を抱え感情に振り回され捜査に身が入らない状態になってしまう。登場人物たちの人間関係の複雑さが幾重にも重なっていきそこで事件が積み重なっていく。とにかく誰もが怪しくどこに真相があるのか最後まで気が抜けません。
『白雪姫には死んでもらう』という題名がインパクトありますが、白雪姫のような容貌の少女がが出てくるというだけではなく読み通すとグリム童話の『白雪姫』をモチーフにしていることがわかります。
ラストはちょっとまとめようとして急ぎすぎ感があるのが少々もったいなかったけどそこに至るまでの人間模様が面白くて一気読み。女性作家が描くだけあって女性キャラのほうが個性的で強いかも。そして男はヘタレが多し(笑)

白雪姫には死んでもらう (創元推理文庫)

白雪姫には死んでもらう (創元推理文庫)