フォルカー・クッチャー『濡れた魚』上下(創元推理文庫)

1929年、春のベルリン。ゲレオン・ラート警部が、わけあって故郷ケルンと殺人捜査官の職を離れ、ベルリン警視庁風紀課に身を置くようになってから、一ヶ月が経とうとしていた。殺人課への異動を目指すラートは、深夜に自分の部屋の元住人を訪ねてきたロシア人の怪死事件の捜査をひそかに開始するが……。(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488258030)

1929年、ワイマール共和国時代のベルリンが舞台の歴史ミステリ。共産主義者ナチスなどが影響力を持ち始めた時代、ケルンの警察署からベルリン警視庁の風紀課へ異動してきたラート警部が主人公。彼が独自の捜査を始めた殺人事件は意外な方向へと広がっていく。様々な人が絡み合い複雑な物語が始まります。
これから暗雲立ち込めていくドイツの空気感漂う物語でした。登場の人物たちの多面性が描きこまれていて「時代」を読んでいく面白さのあるミステリ。色んな要素があって面白いんですがあれこれ書こうとして少しとっちらかった印象もありますがシリーズものということなので今後に期待。しかし最後まで読んでも主人公のラート警部にはいまのとこ寄り添えなかったよ…。

濡れた魚 上 (創元推理文庫)

濡れた魚 上 (創元推理文庫)

濡れた魚 下 (創元推理文庫)

濡れた魚 下 (創元推理文庫)