ロイス・マクマスター・ビジョルド『ヴォルコシガン・シリーズ ミラー衛星衝突』上下(創元推理文庫SF)

惑星コマールのミラー衛星に貨物船が衝突、七個の衛星のうち三つを破壊してしまった。破壊工作だとしたら、いったい何のために?調査に来た皇帝直属聴聞卿の伯父の同僚マイルズ・ヴォルコシガンのミューティーのような姿がエカテリンを驚かせた。

久しぶりのマイルズシリーズ、前作『メモリー』から訳出されるまでかなり待たされた新刊です。前作で仕官の立場(裏の顔のネイスミス提督)を捨て皇帝直属の聴聞卿になったマイルズのいわば第二章といった趣。今回はマイルズの視点だけではなくエカテリンという女性の視点の二つの視点で物語は語られていきます。
マイルズは聴聞卿になっても相変わらずなマイルズでした(笑)。身体のハンディを物ともしない行動力と観察眼の良さや頭のキレの良さ、そしてハイテンションで恋愛体質(笑)。そうそう、マイルズはこうでなくちゃと読んでいてワクワクします。その彼が聴聞卿として政治的なものに絡みそうな事故を調査していきます。
今回はマイルズをある意味かなり冷静に観察していくのがエカテリン。夫と息子の遺伝子からくる病気のことで振り回される日々に疲れている女性ですがいやおうなく事件に巻き込まれるうちに本来の自身を取り戻していく。
どうやら次回作でマイルズとエカテリンとの関係が強くなりそうですがどんな物語になっているのか楽しみ。あまり待たされないで読めるといいなあ。

ミラー衛星衝突 上 (創元SF文庫)

ミラー衛星衝突 上 (創元SF文庫)

ミラー衛星衝突 下 (創元SF文庫)

ミラー衛星衝突 下 (創元SF文庫)