D・M・ディヴァイン『三本の緑の小壜』(創元推理文庫)

ある日、友人と遊びにいった少女ジャニスは帰ってこなかった──。その後、ジャニスはゴルフ場で全裸死体となって発見される。有力容疑者として町の診療所勤務の若い医師が浮上したものの、崖から転落死。犯行を苦にしての自殺と目されたが、また少女が殺されてしまう。危険を知りながら、なぜ犠牲に?(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488240080)

ディヴァインは何を読んでも一定のクオリティがありますね。この作品も面白かったです。章ごとに語りの視点が変わる趣向。事件はわりと単純なものですが一人称の語りでは主観が入るのでどこまで信用できるか、という部分で読者を惑わせていきます。その語り口と人物造詣がうまく絡み、また少女たちの思春期特有の繊細な傲慢さもよく描かれていてます。ラブロマンスもいいスパイス。

三本の緑の小壜 (創元推理文庫)

三本の緑の小壜 (創元推理文庫)