小松左京『果しなき流れの果に』 (ハルキ文庫)

N大学理論物理研究所助手の野々村は、ある日、研究所の大泉教授とその友人・番匠谷教授から一つの砂時計を見せられる。それは永遠に砂の落ち続ける砂時計だった! 白堊紀の地層から出土されたというその砂時計のなぞを解明すべく発掘現場へと向かう一行だったが、彼らは知る由もなかった−その背後で十億年もの時空を超えた壮大な戦いが展開されていようとは。「宇宙」とは、「時の流れ」とは何かを問うSFの傑作。(角川春樹事務所:http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=1623

途中、訳がわからなくなって挫折しそうになりましたがしっかり読んだらかなり面白かった。不可思議な謎を解いていこうというこの小説の主人公の野々村のパートが謎が解けないままいきなりエピローグまで行ってしまうんですよね。それから描かれる物語は細かく分断されているんです。いきなり物語が途中でバラバラになるんですよ。繋がっているのかどうかさっぱりわからない。でも途中で物語がパズルのピースのようになっているのに気が付けば物語の全容が読めてきます。意識、認識問題が問答ように語られる部分は知識がないので理解はできないのですが、それでも何を描きたいかというものはわかります。「SF」が描こうとしているもの、それを詰め込んで描いてしまったような小説でした。1965年の作品ですが古さをあまり感じさせないです。

果しなき流れの果に (ハルキ文庫)

果しなき流れの果に (ハルキ文庫)