ポール・ドハティ『教会の悪魔』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

妹を誘惑され激怒した金匠が相手の男を殺し、司直の手が及ばぬ教会へと逃げこんだ。だが罪の意識に苛まれた男は、耐えきれずに首を吊って、密室状態の教会内で自殺した……単純に見えた事件だったが、その裏にキナ臭さを感じ取った国王の命を受け、再検分が行なわれることになった。密偵役を拝命したのは、切れ者で知られる書記のコーベット。たちまちにして他殺と見抜いたコーベットだが、その背後にさらなる秘密が、そして国家的大陰謀が潜んでいようとは、想像もしていなかった!(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/211811.html)

密偵ヒュー・コーベットシリーズの第一作目。アセルスタン修道士シリーズより先に書かれた作品です。作者ポール・ドハティのお得意の中世ロンドンが舞台での歴史ミステリ。当時の市井の生活などが見事に活写されています。キャラクター造詣が少々浅いというか甘い感じもありますが、初期作品と思えばこれから肉付けされていくかなと期待。物語設定が面白いですし、ミステリとしてもシンプルながらしっかりしていると思います。

教会の悪魔 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1811)

教会の悪魔 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1811)