ディーン・クーンツ『フランケンシュタイン野望』(ハヤカワNV文庫)

天才科学者フランケンシュタインによって創造された怪物は、現在まで生き延び、デュカリオンと名乗っていた。一方、フランケンシュタインも命を長らえ、ヴィクター・ヘリオスの偽名のもと、人造人間である新人種による世界征服を企み、ニューオリンズで研究を進めていた。だが、そこで凄惨な連続殺人が発生、デュカリオン、ヴィクター、刑事カースンとマイクルの運命が交錯する。(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/31233.html

メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』は実話でしかも200年後の現在にフランケンシュタイン博士も怪物も名を変え生き延びていたという着想がまず面白いし上手い。クーンツらしいB級SFテイスト満載ながら個々のキャラクター造詣がとても良く、私的に設定がかなりツボ。オッド・トーマスシリーズが少々失速ぎみかな?とちょっとガッカリしていたので、この新しいシリーズでまた盛り返した感じです。フランケンシュタイン博士のマッドサイエンティストぶりとその対象に博士に生み出された人造人間の屈折した悲哀が描かれ、また最初の怪物のヴィクターと事件を解決していく刑事カースンとマイクルが真っ当な感覚が描かれ、いまのとここの綺麗な構図でのバランスが小説として良い。シリーズものの1巻ということでまだキャラクター紹介に留まっているが次回作がかなり楽しみです。

フランケンシュタイン野望 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-12)

フランケンシュタイン野望 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-12)