デボラ・クロンビー『警視の覚悟』(講談社文庫)

亡き元妻と住んでいた息子・キットの親権も得て、警視キンケイドの一家は真の家族になりつつある。一家はキンケイドの故郷に里帰り。キットは従姉・ラリーに恋心を抱く。そこに乳児の遺体が見つかり、新たな殺人事件も発生。ラリーの友人の事故死にも疑惑が生じる。(講談社http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2767848)

キンケイドシリーズ第11作目。前作でかなり盛り沢山に多角的に社会的な問題を提示して描いていきましたが今回は複数の事件がひとつに収束していく従来のキンケイドシリーズに戻していました。またキンケイドとジュマの一家を中心とした家族の物語をかなり前面に押し家族、人との繋がりが丁寧に描かれていきます。今回のテーマは親と子。
今回は乳児の遺体が見つかったところから始まります。ナローボートに住まう元ソーシャルワーカーの女性とボーダーを生業としている一家族が並行して描かれ、いくつかの事件が絡み合っていきます。テーマは良かったのですが全体的にちょっと散漫だったかな。色んな方向を描こうとして浅くなったしまった感が。もう少し絞って書き込んでもらいたかったかも。

警視の覚悟 (講談社文庫)

警視の覚悟 (講談社文庫)