リンウッド・バークレイ『失踪家族』(ヴィレッジブックス)

ある日突然、14歳のシンシアだけを残して両親と弟、一家全員が姿を消した。それから 25年、シンシアはわたしと結婚しつつましくも平和な家庭を築いていた。しかし、心の 傷が癒されることはなく、彼女はいまも真実を求め続けている。そんななか、あるテレビ番組に出演したことを機に不可解な出来事が起こりはじめ、関係者が次々と殺される。 はたして25年前の失踪事件と関係があるのか? シンシアとの関係が危ぶまれるなか、 わたしは家族を守るべく立ち上がった。が、そこに浮かびあがってきたのはシンシアの 人生を翻弄してきた驚愕の事実だった……。(ヴィレッジブックス:http://www.villagebooks.co.jp/books-list/detail/978-4-86332-271-4.html)

14歳の時に家族が失踪してしまった女性シンシアを支える夫テリーが語り手のサスペンス。失踪事件から25年、夫と娘と幸せな家庭を築いているシンシアだが失踪した家族の手がかりをどうにか知りたいという思いでテレビ番組に出演したあたりから周囲にどこかしら不穏な空気が流れていく。
語り手のテリーが失踪事件の当事者ではないだけに、妻シンシアを見る眼差しが揺れ動き、物語がどの方向に動くのかを読者にうまく隠していく構成が上手い。失踪事件の真相は?また現在の家族に降りかかる殺人事件の真相は…過去と現在が絡む「家族」の物語。途中で予想外の人物が活躍するのが面白い。ただ、残念なことに章の途中途中で入るフレーズでサスペンス好きなミステリ読みだとネタは途中でバレるかも。私は真相がほとんど見えてしまった。真相はわりとありがち。ただ、展開の面白さで一気呵成に読めるサスペンスです。

失踪家族 (ヴィレッジブックス)

失踪家族 (ヴィレッジブックス)