アガサ・クリスティ『カーテン』(ハヤカワクリスティ文庫)

病床のポアロに会うべく懐しのスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズ。が、そこには殺人事件の悪夢が待っていた。過去五件の殺人事件を背後で操る真犯人Xが、体の自由がきかないポアロに挑戦するかのように次なる計画を練っていた……(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/320033.html

エルキュール・ポアロ最後の事件。この作品はポアロシリーズを読んできた人のための小説。舞台設定はポアロシリーズの最初の作品『スタイルズ荘の怪事件』と同じスタイルズ荘だし。ポアロを読んだことの無い人は作品は手にとっても面白さ半減です。私は学生時代にアガサ・クリスティを随分読んでいて、この作品も手に取っています。その時は納得いかなかったし、後味が悪いという感想を持った記憶があります。今回、読んで多少の人生経験を積んだせいか、納得できる部分もあり、非常にやるせない気分になりました。やはり解決方法に納得できない部分があるのですが、それ以上に人って哀しい生き物だなあって、そんな想いに駆られた作品でした。アガサ最後の作品でもあるのですが出版は最後でも書いた時はまだ全盛時代。よくぞこれを書けたものだ、と思いました。

カーテン (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

カーテン (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)