バーナード・ベケット『創世の島』(早川書房)

二〇七五年、世界大戦と疫病により死滅した世界で唯一生き残った島を舞台に、アカデミー入学をめざすひとりの少女の口頭試問をとおして明かされる驚くべき真実とは!?(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/113534.html)

友人からの借り本。ニュージーランドの作家だそうです。国内の権威あるエスター・グレン賞受賞作。YA(ヤング・アダルト)作品として書かれた小説です。読みやすいし、なかなか面白かったです。口頭試問形式にしたところが巧いなあと思った。試験に臨む少女が語る島の歴史を読者はそのまま「物語」として体験していく。そして、そのなかで隠された真実が暴かれていく過程が面白いです。人を人たらしめているものは何か。
オチは実は中盤でわかりました。SF読んでる人なら複線はわかりやすすぎたかも。それと個人的にはもう少し重層的に描いてほしかった部分も。どこを描いて欲しかったかを細かく書くとネタばれになるかな。イブの存在、外の存在をもっと描いて欲しかったってところです。とはいえ、全体の構成や物語は充分読み応えがありました。

創世の島

創世の島