アン・クリーヴス『白夜に惑う夏』(創元推理文庫)

シェトランド島に夏がやってきた。観光客の一団が押し寄せ、人びとを浮き足立たせる白夜の季節が。地元警察のペレス警部が絵画展で出会った挙動不審の男は、次の日、桟橋近くの小屋で道化師の仮面をつけた首吊り死体となって発見された。身元不明の男を、だれがなぜ殺したのか。ペレスとテイラー主任警部の、島と本土をまたにかけた捜査行の果てに待つ真実とは? 大好評『大鴉の啼く冬』につづく、現代英国ミステリの精華〈シェトランド四重奏〉第2章。(東京創元社http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488245061)

『大鴉の啼く冬』に続くシェトランド島シリーズ第二弾。狭い島のおける閉鎖的な人間関係を緻密に描いていく物語。殺人事件はその濃い人間関係のなかのそれぞれの秘密を浮かび上がらせていく。シェトランド島の人々とその生活が丹念に淡々と描かれていきます。『大鴉の啼く冬』に比べると物語に緊迫感があまりなくて謎解きの部分が薄い。そこがちょっと残念でした。登場人物たちの造詣などはとても良く、シェトランド島の風景描写やそのなかで生きる人々が丹念に描かれている部分は面白いのでちょっともったいない出来という気がします。とりあえず次回作も読んでみたいです。

白夜に惑う夏 (創元推理文庫)

白夜に惑う夏 (創元推理文庫)